こんにちは!今回はデジタルマーケティング事業を柱とし、近年はDX(デジタルトランスフォーメーション)事業が急成長中のオーケストラ(6533)について調べてみました。同じようにオーケストラの銘柄情報を調べている方にとって何か一つでも役に立てば嬉しい限りです。
調べた結論として、個人的に今後の事業の成長性について理解できていない部分もあるので今すぐの投資は見送りたいと思いました。
株式会社 Orchestra Holdingsとは
【特色】企業向けデジタルマーケティングが柱。クラウドインテグレーションなどDX事業が急成長
【連結事業】デジタルトランスフォーメーション26(15)、デジタルマーケティング70(14)、他4(4) <19・12>
【比較会社】 3915 テラスカイ 4434 サーバワク 4751 サイバーA
四季報オンラインより引用(https://shikiho.jp/stocks/6533/)
事業内容に関して
オーケストラの事業は大きく分類すると以下のように分けられます。
(1)デジタルマーケティング事業
主にグループ会社のデジタルアイデンティティ社にて事業を展開。デジタルマーケティングの知見や戦略の提供を通じてクライアント企業の広告効果・品質を向上させる事業。SEO解析(いかに検索されやすくするか)、広告運用(いかに効率的に潜在的な顧客に広告を届け、集客するか)、広告物の作成支援や関連のコンサル事業などを営んでいるようです。また、Yahoo!広告の特別認定 パートナー(広告運用パートナー)を4期連続で取得中とのこと。このパートナーをヤフーのHPで調べてみたところ、サイバーエージェントなど大手企業から中小企業まで30社程度が選定されているようです。
(2)デジタルトランスフォーメーション(DX)事業
主にグループ会社のSharing Innovations社で事業を展開。クラウドインテグレーション(CI)事業やWebシステム開発、アプリ開発など。CI事業とはそもそも何なのか?ネットで調べたところ、以下のような内容だと理解いたしました。
「クラウドサービスを提供するベンダーが数多く存在する中で、クライアントの要望をヒアリングし、最適なサービスを選定もしくは必要なシステム構築などを行い、クラウド環境への移行や統合を支援する事業」
コベルコシステムズ株式会社HPより引用(https://www.kobelcosys.co.jp/solution_service/detail/cloud_integration/)
その中で、Sharing Innovations社は主にSalesforceのシステム導入のコンサルティングを主に行っているようで、SalesforceのGold Partnerにも選定されているようです。ただ、Gold Partnerは他にも20社ほどが選定されており、更には上位のPlatinum Partnerも10社程度存在するためどこまで特別なことなのかは不明です。
なお、CI事業は2019年度より開始した事業であり、それまでは主にWebシステムやアプリの開発で事業を拡大させてきたようです。
(3)その他事業
・チャット占いアプリ「ウラーラ」の運営。
・タレントマネジメントシステム「スキルナビ」を新たな事業として育成中。こちらは人材管理(社員のスキル管理、人事考課、目標評価など人事制度上で求められる一連の情報管理)の業務・マネジメントをクラウドサービスとして提供する、SaaSビジネスとなります。順調にストック収入も増えているようです。
株式会社 Orchestra Holdings決算説明会資料より引用(https://ssl4.eir-parts.net/doc/6533/tdnet/1933575/00.pdf)
それぞれの事業の売上に占める割合は以下の通りです。
バフェットコードより引用(https://www.buffett-code.com/company/6533/)
最新の2020年12月決算時の内訳は以下の通りです。
株式会社 Orchestra Holdings決算説明会資料より引用(https://ssl4.eir-parts.net/doc/6533/tdnet/1933575/00.pdf)
売上の内7割弱がデジタルマーケティング事業、3割弱がDX事業、残りの5%程度がその他事業となっています。どの事業も非常に高い成長率で成長していますね。
それでは、続いて株価情報や成長率の推移などについて見ていきたいと思います。
株価・財務情報
2月19日時点の情報となります。
バフェットコードより引用(https://www.buffett-code.com/company/6533/)
株探より引用(https://kabutan.jp/stock/finance?code=6533)
株式会社 Orchestra Holdings決算短信より引用(https://ssl4.eir-parts.net/doc/6533/tdnet/1933571/00.pdf)
PERは一般的に見れば高い気もしますが、以前見たSHIFTのようなグロース株に比べればまだ低いようですね。自己資本比率は決して安心できるほど高い水準とはいえまぜんが、有利子負債倍率から見ても、足元ではそこまで心配する必要はなさそうです。ただ、オーケストラ社はこれまで数多くのM&Aを通じて急成長を果たしてきており、それが貸借対照表上で「のれん」として6億円弱の金額として表れています。直近1年間での償却額は8千万円、株主資本に対しては35%程度の割合となります。現状収益に貢献しているようなので一気に不良資産、減損処理が必要な事態にはならないとは思いますが、仮になったとしても直近の経常利益が7億円弱あることを考えれば、利益が吹き飛ぶだけですし、剰余金も十分にありますので経営に与える影響は大きくはないものと考えます。
キャッシュフローに関して
株探より引用(https://kabutan.jp/stock/finance?code=6533)
本業でしっかり稼げており、営業CFは安定してプラスとなっています。18年と19年はM&A実施に伴い投資CFがマイナスとなっております。財務面では毎年借入金の新規借り入れと返済を実施しているようですが、全体としては借入金額の方が返済額よりも多く、プラスとなっている模様です。
売上高、営業利益率の成長性
バフェットコードより引用(https://www.buffett-code.com/company/6533/)
順調に右肩上がりに売上、利益共に成長を続けていますね。営業利益、純利益率ともに非常に安定しており、売上拡大に比例して、ほぼ同じペースで利益の金額も増えていっています。営業利益率自体は6%程度とそこまで高くはないため、欲を言えばもう少し利益率が高まってほしいですね。
このように売上・利益共に毎年安定的に高い成長を続けている理由には、同社が実施している積極的なM&Aが挙げられます。
株式会社 Orchestra Holdings決算説明会資料より引用(https://ssl4.eir-parts.net/doc/6533/tdnet/1933575/00.pdf)
上記のように近年は毎年のようにM&Aを繰り返しています。それでも先ほど見たように「のれん」の金額がそこまで膨らんでいないのは、いい会社を適正な金額で購入できている証拠なのかもしれません。ただ、気になるのは新しい企業を買収しなかった際の既存事業領域での売上高成長率はどの程度なのでしょうか?
決算短信資料や決算説明会資料を色々と確認してみましたがこの点はよく理解できませんでした。
今後の事業業績動向について
オーケストラ社が公表している21年12月期の業績予想についての資料です。
株式会社 Orchestra Holdings決算説明会資料より引用(https://ssl4.eir-parts.net/doc/6533/tdnet/1933575/00.pdf)
来期も継続して20%以上と高い成長率を見込んでいるようです。
オーケストラ社が事業の柱とするデジタルマーケティング事業において市場規模が拡大傾向にあり、こうした外部環境も事業拡大には追い風となっているようです。
もうひとつの事業の柱であるDX事業については、この記事を作成中に新たなIRニュースが発表され、グループ会社のSharing Innovations社が新規上場されるようです。上場の目的としては以下のような発表がされています。
デジタルトランスフォーメーション(DX)のトレンドが進展する中、Sharing Innovations の主な事業領域であるクラウドインテグレーション、システムソリューション分野における事業機会は益々増大しており、上場に伴う社会的信用度・知名度の向上、体制強化のための独自の資金調達手段の多様性を確保する事が、中長期的な事業拡大に繋がると考えております。
更に、M&A により当社グループに参画した Sharing Innovations が上場し、資本市場において企業価値が顕在化する事で、今後当社グループへの参画を検討する企業に対して、当社グループのプラットフォームを活用した事業成長の可能性を示せることは、当社グループの将来の企業価値向上に大きく貢献するものと考えております。本上場に伴う当社所有株式の売出しにより得る資金については、当社グループの事業ポートフォリオ強化のため、高い成長性が見込まれる事業領域への投資に活用し、更なる企業価値の向上に繋げて参ります。株式会社 Orchestra Holdings IR情報より引用・抜粋(https://ssl4.eir-parts.net/doc/6533/tdnet/1937304/00.pdf)
この上場を通じて、Sharing Innovations社の事業拡大のスピードがどう変わっていくのか確認していきたいですね。また、オーケストラ社は上場に伴い得た資金で新たな会社をM&Aし、次の成長を図っていくのかもしれませんね。
まとめ.投資は見送り
今までの成長実績を踏まえると非常に魅力的には映りますが、以下の点を踏まえて、個人的には今すぐの購入は見送り、少し様子をみたいと思いました。
・Sharing Innovations社上場によるオーケストラ社への売上・利益や今後の成長性への影響度合いがまだ理解できていないこと
・オーケストラ社の業績が成長しているのは他社と比べた際に何か強みがあるからなのか、M&Aによる拡大なのか、まだ理解できていないこと
・中長期の経営計画の開示がないため、21年期以降の数値目標や戦略がまだ理解出来なかったこと
IT関係のビジネスは広告関連事業にしてもシステム開発の事業にしてもプレーヤーが数多く存在するため、1つの企業の事業が他社に比べてどう差別化され強みがあるのか理解しにくい、というのが投資初心者の私の個人的な感想です。今後オーケストラ社やSharing Innovations社、競合他社の業績動向などを見ながら市場、業界の勉強を進めていけたらと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました! 以上ハシモでした!
あくまで投資は自己責任でお願いします。
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